ADHDと食事の話になると、よく出てくるのは「何かに没頭して昼ごはんを食べ忘れた」というエピソードです。ところが、フランスの新しい研究が示しているのは別の方向です。摂食障害の治療を受けている人の中に、誰にも名前をつけられていないADHDを抱えた人が少なくない可能性がある、というのです。
リモージュにあるエスキロール病院の研究者たちは、摂食障害の治療を受けている成人120人を評価しました。9月29日に発表された研究によると、そのうち61人がADHDの基準を満たしていました。それ以前に診断が確定していたのは2人だけでした。
ほとんどの人は、一度も指摘されたことがなかった
参加者は全員、ADHDの短い標準的なスクリーニング質問票に回答しました。そこで陽性となった人は、続いて精神科医による構造化面接を受けました。成人の診断に用いられる形式の面接で、現在だけでなく子どもの頃の注意力や落ち着きのなさについても尋ねるものです。
基準を満たしたのは半数をわずかに上回る人たちでした。その61人のうち59人にとっては、すでに専門的な治療を受けていたにもかかわらず、誰かにそれを確認してもらったのはこれが初めてでした。
注目すべきは、この落差です。食事のことですでに医療者にかかっていた大人たちなのに、注意力の面は見えないままになっていました。
この数字そのものは慎重に扱う必要があり、著者たち自身もそう述べています。摂食障害のある人を対象としたこれまでの研究では、ADHDが見つかる割合はおおむね10〜20パーセントでした。この病院は地域でもっとも複雑なケースを受け入れており、参加者のほぼ半数は入院患者でした。そのことが数字を押し上げた可能性が高そうです。
限界はあと2つあります。摂食障害で体調が深刻に悪化していること自体が注意力や記憶力に影響しうること。そして、子どもの頃の様子は本人の記憶から思い出してもらったもので、照らし合わせる親の証言や学校の記録がなかったことです。この研究が示しているのは、摂食障害の治療の中でADHDが見過ごされることがある、という点です。食事のことで悩んでいる人全体の中でADHDがどのくらい多いのかは、この研究からは分かりません。
関連がとくに強かったのは、食事制限ではなく過食
もしADHDの影響がおもに食事を忘れることだとしたら、制限型の食行動との重なりがいちばん大きくなりそうなものです。ところが、研究者たちが見つけたのは逆のパターンでした。
神経性過食症または過食性障害のある人では10人中およそ7人がADHDの基準を満たしていたのに対し、神経性やせ症のある人では半数未満でした。ただし、グループは27人と13人と小さいので、正確な割合はおおよその目安と考えてください。
この研究でADHDのあった人は、衝動性と自分の体への不満のスコアも高く、ほかの精神疾患を併せ持つ人も多くいました。もっとも多かったのはうつ病です。パーソナリティの特徴にも違いがありました。承認や報酬に敏感で、自分の進む方向を自分でコントロールできているという感覚のスコアは低めでした。
研究者たちがこれらの要因をすべて1つのモデルに入れたところ、はっきり残ったのは摂食障害のタイプだけでした。ほかの違いも知っておく価値はありますが、確かさは劣ります。
これは、ADHDのある人の多くが生活のほかの場面ですでに知っている姿と重なります。問題は注意がどこに向くかだけではなく、何かに引っぱられているときに待つこと、立ち止まること、やめることがどれほど難しいか、でもあるのです。ただし、この研究はこうした点をある一時点で測ったものです。ADHDが食事の問題を引き起こすと示したわけではありません。
すでに治療を受けているなら、ADHDのことを話題にする価値があります
著者たちは、摂食障害の医療機関はADHDのスクリーニングを行うべきであり、とくに神経性過食症と過食性障害のある人で重要だと結論づけています。また、衝動性や注意力にも対応する治療を用いるべきだとしています。
摂食障害の治療を受けていて、集中すること、落ち着きのなさ、考える前に行動してしまうことにずっと悩んできたのなら、治療チームにADHDについて相談してみるのは理にかなったことです。評価を受ける意味があるかどうか、それが治療全体の中にどう収まるかは、治療チームが判断してくれます。
こうした質問は、いざ診察室に入ると忘れてしまいがちです。聞きたいことは事前に書き出しておきましょう。Recordoなら、質問をメモとして残し、診察の日にリマインダー付きのタスクを追加しておけます。そうすれば、必要なときにメモが目の前にあります。
いま食べることが自分でコントロールできないと感じていて、サポートを受けていないのなら、まずは医師か、お住まいの国の摂食障害の相談窓口に連絡してみてください。ADHDが関係しているかどうかを先に知っておく必要はありません。
ADHDの現れ方が人によってどれほど違うかについては、ADHDはひとくくりではありませんもあわせてどうぞ。前回のADHDニュース記事では、動画フィードがなぜやめにくいのかを取り上げました。
治療計画が扱えるのは、名前のついたものだけ
この研究の59人には、確定診断ではとらえられていなかった部分がありました。名前がついたからといって、本人の何かが変わったわけではありません。変わったのは、治療にあたる人たちにようやくそれが見えるようになったことです。
この記事は1つの研究を紹介するものです。診断や医学的な助言ではなく、あなたにADHDや摂食障害があるかどうかを判断することはできません。
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